『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』感想 日本人の夢を勝手に叶えるんじゃねーよ!というレベルの怪獣天国

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冒頭からいきなり『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』のネタバレをします。「ギャオーン!どがががーん!ぴろりろりっぴろりろりっ どががががーん!ギャオーン!ドッババキッツ!どーん!モスラ~やモスラ~!がおーん!」以上ネタバレでした。うわ~映画の核心しゃべっちゃったよ。

どうですか『シン・ゴジラ』や『アベンジャーズエンドゲーム』のあのネタバレ戒厳令ムードに対して、この『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の何しゃべってもまったく問題ないというムード。わかっているのに、わかっているからこそ面白いという。

へ~ニューヨークにも寿司屋あるんだな~、カリフォルニア巻きとか食わされるんだろうなあと思って入ったら「へいらっしゃい!これだろ?」とバケツで作った3㎏の巨大なプッチンプリンが出てくる感じ。あるいは3メートルのうまい棒。お湯でゆでたマルシンハンバーグ20キロ。全長15mのダイオウイカで作ったよっちゃんイカ。確かに子供のころ死ぬほど食ってみたかったけど今更大人になってからこんなの出されてもな~うっわ無限に食えるわ!やべえ!なんでアメリカ人が日本人の性癖知ってるんだよ気持ち悪いなこの野郎!というレベルの至れり尽くせりでした。

 

 

まことにハリウッドおそるべしでありまして、「あいつら脳みそが筋肉だから俺たち日本人のオタクの繊細な心の機微は理解できないんだよね」などというエスノセントリズムが通用しない時代が来たのであります。ブルースやヒップホップを白人に収奪されていく黒人というのはこういう心境なのでしょうか。それでいて「家族!米軍!A Beautiful Star!」「人種!多様性!A Beautiful Star!」といったハリウッドの黄金律はきちんと押さえているのです。一応世界の渡辺謙演じる芹澤博士が文明論っぽいことを語るのですが、適当なところで「はいそこまで!てなわけで!」と監督がカットをかけてどったんばったん大騒ぎです。(追記:監督のインタビュー記事を読むと核兵器のことなど真剣に考えている面もあるようで引用します)

 

そろそろ日米政府間で「ハリウッドが日本のオタクの夢を勝手に叶えること禁止する条約」を結ばないと、この『キング・オブ・モンスター』のクオリティを見る限り、近い将来にエマ・ワトソンナウシカでナタリーポートマンがクシャナを演じるハリウッドナウシカとか、カリフォルニアの女子高生たちが戦車道を極めるハリウッドガルパンとか、マッケンジー・フォイのハリウッド時をかける少女とか、そういう日本人の心の琴線をウクレレみたいにジャカジャカ適当にかき鳴らされてしまう時代が来るのかもしれません。

余談ですが、桜木町のブルク13で鑑賞したあと、二人組の男の子のうち眼鏡をかけた方が連れの友達に「爆発みたいなエフェクトで処理してたけど、オキシジェンデストロイヤーは吹っ飛ばすんじゃなくて溶かすんだよね」とうんちくを垂れて「そうなんだ」とすさまじく興味がなさそうな相槌を打たれていました。今でもこういうオタクの子はちゃんといるんだなあ。頼むぞ少年。日本のオタク産業の未来は君にかかっている。