映画「クソ野郎と美しき世界」感想

これは三人が三つの短編を演じるオムニバスなんだけど、少しずつ関係していて、最後のシークエンスでライブみたいに三人が出会うという形式なんですよね。物語として一番興味深かったのは香取慎吾主演の「歌喰い」の少女の部分だと思う。この部分で歌を食われる、古い表現を食い殺さないと生きていけない女の子に自分の表現を食べられてしまった香取慎吾が、新しい歌を歌い始める…というのがこの映画だと思う。女の子が表現を食べる、というのは、ある面では「消費する、流行遅れにしていく」と解釈することもできるし、あるいはPC的、ジェンダー批評的に否定していくという解釈もあると思う。ツイートでも書いたんだけど、そういう表現者と表現批判者の同棲みたいなものを描いていて、いわゆるミューズの物語を反転させている。

太田光脚本の草彅剛主演作品は、草彅剛の凄みが本当によくて、太田光が言っていれば爆笑問題のギャグになるような台詞でも草彅剛が言うと怖いんですよね。役者として一番伸びしろがあるのは草彅剛だと思う。マジで海外で俳優賞取っておかしくない